FM三重「ウィークエンドカフェ」2010年07月10日放送

今日のお客様は(有)小川耕太郎∞百合子社 社長の小川耕太郎さんです。
会社のネーミングもおもしろいですが、小川さんのバイタリティもすごいです。
蜜ろうワックスの売り込み方法は小川さんの前へ前への志が伝わってきます。
そして、完成した小川さんのお家・・・いろんな所にこだわりがあります。
築60年の民家を地元材を使ってどのように改築したのか? 気になりますねぇ。

■そもそも『蜜ろうワックス』って?

『蜜ろうワックス』とは、住宅の自然素材の部分・・・例えば、ヒノキや杉やムクなどの床や壁などに塗る、自然塗料です。
材料は蜜ろう・・・つまり蜂の巣と、エゴマという植物の種2つだけで作られているんです。
木に塗ると自然なツヤと木目が浮かび上がり、シックハウス対策や化学物質過敏症の方にもオススメです。

■蜜ろうワックスを作ろうと思ったきっかけは?

もともと木材や自然のものを扱うお店をやっていまして・・・そこで蜂蜜も取り扱っていたんですね。
たまたまフローリングなどに使う塗料を自然なもので作りたいと考えていたら、「そういえば蜜ろうは『ろう』だな」と気づき、先方に聞いたところ「いっぱいあるよ」と。
『ろう』だから変質しないというか、腐らないから、とってあったんですね。

で、僕の祖父が実はここ尾鷲で、番傘職人だったんですよ。
尾鷲といえば降水量が多いので有名ですよね。
祖父が和紙に耐水性をもたせる為、荏ゴマ油を使っていたというのを知り、これだ!と。
荏ゴマ油なんてどうやって作れば・・・と思って探していたところ、愛知県の会社が『一番絞り』という名で出していることを知ってすぐに取り寄せてね。

蜜蝋とエゴマ油を混ぜたものをカサカサになったケヤキの板に塗ったら、サーッと元の木の色が浮き出た!
できちゃった!
まあ、その後、製品を安定化するために、温度やら濃度やら色々あったんですけど、基本はこの時できちゃったんですよ(笑)

■蜜ろうワックスが浸透したわけ・・・

販売をはじめたのが平成11年・・・問合せをいただいた方にはサンプルを送って、それで徐々にお客様が見えて。

ある日、神奈川県の二ノ宮小学校の校長先生からサンプルを送って欲しいと言われて、そしたらすぐに神奈川の教育委員会の方から同じような電話があって、不思議だなぁと思っていたら、こんどは女性から電話。
なんとこの方も神奈川から。
あまりに不思議なので、神奈川の小学校と教育委員会から連絡があったことを話したら、
「ああ、学校も教育委員会も動いてくれているんですね!」と。
女性は、二ノ宮小学校に通っている生徒のお母さん。
お子さんが化学物質過敏症で、床のワックスに反応してしまい、教室に入れなくなってしまっていたんです。
そこでこの『蜜ろうワックス』を塗ってみたら、教室に入れるようになったんですよ!
その生徒さんはもう卒業したけれど、二ノ宮小学校では、今も『蜜ろうワックス』を使ってくれています。

そんなことからお客さんが注目してくれるようになって・・・。
あとは、最近家を建てる方に、若いご家族が増えたということですね。
若いということは、お子さんが小さいということ。
やっぱりアトピーとか化学物質とかに関して敏感なんでしょうね。
実際、化学物質過敏症のお子さんが、『蜜ろうワックス』の家に入った瞬間から、状態が治まる・・・なんてこともあるくらいです。
それとやはりインターネット!
業者さんでなくても、欲しい情報がすぐに探し出せますからね。

■築60年の古家を、とことん自然素材でリフォーム!

親類から築60年の家を安く買いまして。
水周りだけちゃんとしようと思って壁をはがしたら・・・腐っているんですよ(笑)
壁も床も床下も・・・。
ならばいっそのこと、とことんリフォームしよう!と。
今まで培ってきた自然の素材や知識を使って、展示場にしてやろうと決意しました!

結局、お風呂・洗面所・台所などの水周り以外は、かつてお店で貯めていた木材を使い、合板・のりは使わないを徹底!
予算は当初の10倍くらいかかってしまいましたが、身体に優しいし、お客さんに自然素材の家を実感してもらえるので、良かったですね。

■小川さんが目指すものは?

自然を守り生かし、はぐくみ、将来の子供たちに自然を残すことです。
自然を生かすというのは・・・今ある自然を無駄なく使うことと、感謝の念を持つこと。
例えば『木もちe~デッキ』というのを販売しているんですけど、これは杉の三番玉四番玉という、枝がある細い部分を使っているんです。
これは今まで、運んでも値が付かないから山に捨てていちゃったんですね。
でもそれではいかんでしょ。
自然のものを使うからには、全部生かしきらないと。

手間をはぶくのではなく、手間をかけよう・・・手間によって素晴らしいものが生まれるということを、子供たちに知って欲しいですね。